凡庸なるがままに。


by michelle_s
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艶女(笑)

▽ 土日は会社のサッカー部の合宿でした。房総半島の先っちょ、茨城県の波崎まではるばる出かけ、まあ私は試合には出ないんでせっかくの芝のグラウンドでも地味ーに基礎練習をしてただけなんですけど。合宿に出たのは二回目なんだけど、二回とも宴会が壊れすぎてます。

▽ タイトルでピンと来る人もいらっしゃるかと思うのだが、今
「昨日のフジテレビのスタ☆メンを見たものはあるか!」
と声を大にして呼ばわりたい気分でいっぱい。ザッピングしてて、たまたま画面の右上の
「男をとりこにする35歳艶女」
とかいうキャッチと、えらい化粧に気合いを入れている女性が映ったのでなんじゃこりゃと見てしまったのだが、ほんとになんじゃこりゃ、というぐらいすごい事になっていた。
 途中からだったんでその女性がどういう素性の人かはよくわからなかったのだけど、彼女は日々いかに自分がセクシーになるよう努めているかを、自分で自分に
「うん、うん」
と相づちを打ちながら語っていた。その彼女の男友達との会食の様子も映し出されていたのだが、ヒョウ柄のボディコンのミニのワンピースをお召しになった彼女に、年商40億とかいう会社社長のお友達の方は
「うわっ、またとんでもないカッコしてんなぁ」
と半笑いだった。そしてたくさん男友達がいるということで、別の年下っぽい男性と話をしているショットが次に入ったのだが、何もそんなに目ぇ剥いて話さんでも、きよし師匠かあんたは、というぐらい目をパチパチーと見開いて
「わかるわー、あなたの話」
という仕草をしていた。ちなみにこのときの服装はベアトップだった。
 で、この彼女のような、常に「セクシー」であるよう心がけている三十代の女性を「艶女(アデージョ)」という、とかなんとか言い始めた。なんだそりゃ。シロガネーゼとかアシヤレーヌ級の恥ずかしさだぞ。

 なんでこんな事になっちゃってるのかというと、これは主婦と生活社が出している「NIKITA」という雑誌が掲げているコンセプトな訳で、だいたいこの雑誌、創刊号からいきなり
「モテる艶女(アデージョ)は「テクニック」で コムスメに勝つ! 」
ですからね。どうやらギャグではないらしいから開いた口が塞がらない。どうしたんだ主婦と生活社、主婦も生活も置き去りにしてるぞ。
 この雑誌、以前中吊りかなにかで見かけて、そのあまりにいろいろな情念がむき出しのコピーに驚いたのだが忘れていた。「艶女」ってなんだっけとググってみてはじめて、ああ、「負け犬」の財布を狙った需要を作り出そうと必死こいてる、そんなような雑誌の広告をどっかで見たっけなあと思い出した。
 「コムスメ」というのはたぶん女性誌の王道ターゲットの、二十代の独身女性のことで、この層に対しては雑誌がたくさんあると。で、そういう層が結婚するとそのまま「VERY」的な、経済的に余裕のある主婦をターゲットにした雑誌にシフトするんだろうなあ。自分で稼いでいる三十代向けというと川原亜矢子フィーチャリングだった「Domani」とか「Oggi」とかがあるけど、ここに「モテたいって言ってどこが悪いのよー!」という欲望をストレートに盛り込んだのが「NIKITA」なんだろう。なにせ、モテたくてどうしょうもないおっさん向け雑誌「LEON」と編集長が同じ人だというのだから、何をか言わんや。
 
 このように「若さはなくなったけどその分テクニックがあるのよ」というのが「艶女」という主張らしいのだが、壮絶なトホホ感を醸し出していたのは、前出の女性のたたずまいが下品で小汚かったからなのだ。だってさ、この21世紀に35歳の女のよそ行きがボディコンのヒョウ柄のワンピースって、何をどうしたいんだろうかとしか思えない。どうもこの雑誌の言う「テクニック」というのは尻や乳をアピールする事らしいのだ。
 彼女が道を歩いている時、外国人の男性が振り返って見ていて、それをTVのナレーションでは「注目を集めている」と言っていたがそれは単にビッチだと思われてるだけだろう。年を重ねた上でのテクニックってのは、そういう空気を読めるようになるってことなんじゃないのか。私もしばしば読めてないが。
  
 しかし私も35歳独身ということで、この雑誌にまともに煽られる女性の気持ちもかなりリアルに想像できる。
 世代としてはバブル末期からバブル直後の時期に社会人になり、雇用機会均等法の第一世代に憧れてキャリア志向になったはいいけれども、バブルが終わって自分より後はあまり女性が入って来ないし、第一世代が苦労しているのを見ているので、結婚・出産をクリアしても今と同じペースで働くのはちょっと無理かも、と及び腰になっている人たち。わかる、わかるよ。だって私がそうだもん。過剰なまでのキャリア志向が正義だった就職活動を送った世代だと思う。
 そしておそらく私同様、十代、二十代に「JJ」だの「CanCam」だのの読者ではなかった、いやなりたくてもなれなかった非モテサイドの住人だった人たちだろう。なぜなら「NIKITA」における「艶女」の対義語は「地味女」と書いて「ジミータ」なのだ。これがターゲットとなる読者の本来の姿なのだろう。なんだ用語でネタバレしてるじゃん。で、TVに出ていた女性の
「私はモテなくなんかない!」
という必死な姿にに感じる苛立ちや哀れさは、たぶん同族嫌悪とかそういうものだと思う。私はキャリア志向な路線から趣味の世界へ行ってしまったのでああはならずに済んだのだが、コインの表裏、みたいな感じもしてちょっと冷や汗をかいた。
 この件で一番腹立たしいのはもちろんバカバカしい造語とマッチポンプな需要を作り出している雑誌なんだが、持ち上げるフリをして晒しモノにしているフジテレビも相当意地が悪い。ただ、やっぱりヒョウ柄の彼女も嬉々として取材を受けるなよなあとも思う。お互いいいトシなんですから。
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by michelle_s | 2005-10-03 23:46 | チラシの裏